新世紀エヴァンゲリオン 第拾弐話「奇跡の価値は / She said, "Don't make others suffer for your personal hatred."」あらすじ

エヴァンゲリオンTV 第12話 タイトル
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 西暦2000年。
 セカンドインパクトが起こった年。幼い頃のミサトは父に助けられ窮地を脱する。胸の傷はそのときに負ったものだった。

 雨宿りのためにミサトの家にやってきたトウジとケンスケ。濡れた髪を乾かす二人を、アスカは邪険に扱った。そこに制服姿のミサトが現れると、ケンスケは襟章を見て昇進したことに気付く。これによって、ミサトが一尉から三佐に昇進したことが判明する。

 ハーモニクスのテスト中、シンジは良好な数値を残す。
「まさに、エヴァに乗るために生まれてきたような子供」と称されるが、本人はきっと嬉しくないとミサトは言う。
 シンジの結果を聞かされて、アスカがヘソを曲げる。帰り際、車の中でミサトの昇進に祝いの言葉を伝えるシンジ。謙遜するミサトに便乗するシンジ。自分が褒められて機嫌を損ねたアスカの行動の真意が理解できないという。それが気になるというシンジに対し「そうして、人の顔色ばかり気にしているからよ」とミサトがつぶやく。

“御昇進おめでとう祝賀会場”となったミサトの家に集まったのは、トウジ、ケンスケ、委員長のヒカリの面々で、言いだしっぺはケンスケだった。レイはアスカが声を掛けたものの、来ない様子だった。アスカとヒカリによる加持の噂話が聞こえる中、浮かない表情を見せるシンジにミサトが声を掛ける。人が多い状況にまだ慣れないシンジは、ミサトがNERVに入った理由を尋ねてみる。しかしミサトはシンジの質問をはぐらかす。そこに加持が遅れて到着すると、リツコも一緒だった。ミサトが昇進したことに付けて、ゲンドウと冬月が日本を離れられるのはミサトが信頼されている証だと賞賛する。シンジがゲンドウの名前に反応すると、碇司令は南極に行っているとリツコが教える。

 死の世界と化した南極の海を進行するゲンドウたちを乗せた艦隊。目の前に広がる光景はセカンドインパクトが引き起こしたものだと言う冬月に対して、「汚れなき浄化された世界」であるとゲンドウは言う。そこに、NERV本部からインド洋上空、衛星軌道上に使徒発見との報告が入る。

 第1発令所のモニターに映しだされた目標の映像は、常識を疑うものだった。第10使徒サハクィエルは、A.T.フィールドをまとった自らの体を切り離し、爆弾として地上に投下し始める。ミサトとリツコは、使徒が着弾地点を徐々に学習している痕跡に注目し、NERV本部へ体当たり攻撃を仕掛けてくると予測。スーパーコンピューター・MAGIの見解は全会一致で撤退を推奨した。ゲンドウと連絡の取れないミサトは、まず付近の住民を避難させるべく「D-17」を発令させる。

 市民の退避が完了すると、ミサトはある作戦の決行に移った。勝算は0.00001%で、エヴァ三体を無駄にするかも知れないとリツコが意見する。やるだけのことはやっておきたい、使徒殲滅は私の“仕事”だと表現するミサトに、「自分のためでしょう。あなたの使徒への“復讐”は」とリツコは言った。

EVANGELION EPISODE 12

 ミサトがシンジたちに作戦内容を伝える。使徒の「爆弾」を直接手で受け止めると言われ、驚愕するアスカ。落下予測地点を外したららアウト、機体が衝撃に耐えられなくてもアウトという、まさに勝ち目は「神のみぞ知る」という作戦だった。奇跡を信じるしかない。辞退できる状況においても、三人はその場に留まった。遺書は書かない。無事に終わったらステーキをご馳走すると励ますミサトに、三人は空元気で対応するしかなかった。予定調和でもやっていないと気が晴れない。せっかくだから次はあなたも来なさい、と言うアスカに対して、「肉きらいだもの」と言ってレイは辞退する。

 使徒を見失う直前までのデータから、MAGIが算出した落下予想地点は広大だった。使徒のA.T.フィールドが持つ能力を考慮して、NERV本部を破壊できる範囲を元にエヴァ三機の配置場所を決定する。しかし、実際の根拠はミサトの「女の勘」に頼ったものだった。

 エヴァの元へ向かうエレベータの中で、シンジはアスカにエヴァに乗る理由を尋ねる。アスカは「自分の才能を世の中に示すためよ」と答えた。「あの子には聞かないの」とアスカはレイの方に視線を送る。シンジは前に聞いたことがあると言った。
 アスカはシンジにエヴァに乗る理由を聞き返す。
「……分からない」それがシンジの答えだった。
「あんたバカぁ?」と詰めるアスカの言葉にも、シンジは反論しなかった。あきれたアスカは言う。
――ほんとに馬鹿ね。

 発令所に残っていたオペレーターにも退避するように促すミサト。しかし、他の面々も子供たちだけを危険な目に会わせる訳にはいかないと言って留まり、決意の固さを見せた。子供たちは大丈夫だというミサトは、エヴァの中が一番安全だからと言った。

 夕暮れの第3進東京市を眺めるミサト。自分がどうしてNERVへ入ったのか、事の経緯をシンジに語り始める。ミサトの父は自分の研究という夢の中に生きる人物だったという。そんな父を許せなかったと語るミサト。シンジは自分の父・ゲンドウと通じる部分を感じる。結果的にミサトの両親は離婚し、最後は自分の身代わりになって死んだと説明する。自分が父に抱いている感情が分からなくなったミサトは、セカンドインパクトを起こした使徒を倒すことが唯一はっきりしていることだと言い、それがNERVへ入るきっかけになったとシンジに打ち明ける。しかし、それは父の呪縛から逃れるための口実に過ぎないのかもしれないとミサトは言う。
「逃げちゃダメだ」
 シンジは自分の意思を見出し始める。

 作戦開始の合図と共に、エヴァのアンビリカルケーブルが絶たれる。活動限界のカウントダウンが開始すると、シンジが号令を発した。
「スタート!」
 走り出すエヴァ三機。目標が上空に現れると、シンジはA.T.フィールドを全開にしてそれを受け止める。押しつぶされそうになる初号機。駆けつけるレイとアスカ。敵のA.T.フィールドを切り裂く零号機。そして弐号機がコア目掛けてプログ・ナイフを突き出す。弐号機の攻撃が使徒の目を捕らえると、使徒は力尽きて大爆発を起こした。エヴァ三機の無事が確認された場所には、大きなクレーターが出来上がった。それは、後に「第三芦ノ湖」と呼ばれるようになる。

 発令所に戻ったエヴァパイロットたち。アスカはご満悦の表情。そこに、ゲンドウから通信が入った。ミサトが初号機を破損したことを謝罪すると、ゲンドウと冬月は、その程度の被害で抑えられたことを評価する。そして、「初号機パイロットはいるか」とゲンドウが言った。
 突然の指名を受けてシンジは驚きながらも返事をする。
「よくやったな、シンジ」
 ゲンドウは、今まで発することのなかった言葉をシンジに届けた。

 アスカは、約束通りの「ご褒美」をミサトにねだる。懐具合を気にするミサトが連れてこられたのは、なんと屋台のラーメン屋だった。
「ミサトの財布の中身くらい分かってるわ」とアスカが気を利かせたのだ。これなら“優等生”も付き合うからという側から「ニンニクラーメン チャーシュー抜き」をオーダーするレイの声が聞こえる。アスカは「フカヒレチャーシュー大盛」を頼む。席に着いたシンジは、ラーメンを啜るミサトに話し始める。父・ゲンドウの言葉を聞いて、褒められることの嬉しさを知ったこと。その言葉を聞きたくてエヴァに乗っているのかもしれないと感じたことを。そんな理由でエヴァに乗っていることに驚いて、アスカがシンジの顔を覗き込むと、彼の表情は穏やかな笑顔だった。
 アスカは言う。――ほんとに馬鹿ね――さっきよりも優しい声で。

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